太平洋に注ぐ揖斐川の上流でありながら日本海から僅か30kmほどの距離にあるこの地は豪雪地帯。雪との戦いは冬が終わるまで続きます。
この極寒の中でのパン作り、工房は一年を通じて22℃程度にしなさいなどと本には書いてあるものの朝は無理。最も苦労するのは生地の捏ね上げ温度を狙い通りにすること。粉の温度、パン種の温度を計り水の温度を調整してミキサーに入れる、捏ねる、温度を計る、全然低い!これではいくらホイロに入れようと発酵にいたらない。
熱量計算をして狙いの水の温度を求めても全くその通りにならない!
こういう時は机上で考え込んでもダメ。工程を順に見ていこうということで解ったのはミキサーの金属ドラムが室温と同様に冷たく、捏ねながら冷やしていることが原因でした。ミキサーに材料を投入する前に熱湯でドラムを温めそれから捏ねるとようやく狙いに近い捏ね上げ温度になってくれました!手捏ねでは考えなくてもいい課題が機械を使うと発生します。
捏ね上げ温度が達成できるとつぎは発酵時間の最適化です。ライ麦系のパンの場合、本に書いてある1時間では全然だめで温度と湿度を設定したホイロ中で2時間半置いてようやく表面に割れが出てきました。そこで考えたこと、この雪の中の工房に一晩置いたらどうなるだろう?その結果12時間で理想的な割れ!期待通りの結果に満足です。春まではこの方法でいけます!!